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古物商として会社を設立するとき、古物商を新たに会社として事業を行うとき
古物商として会社を設立する際や会社設立後に古物商を始めようとするときは、会社の定款に記載する「会社目的」は、古物取引に関する業務内容を具体的に示す必要があります。定款に記載された目的は、会社が合法的に行える事業範囲を定義するものであり、これが不明確であったり、範囲外の業務を行うと、許可が下りない可能性や法律違反となるリスクがあります。
古物商としての会社目的に記載できる内容例
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古物の販売および買取業務
「古物の販売および買取に関する業務」- 古物商の基本的な業務である、古物の売買に関する内容を明示する目的です。これには中古品の売買、ネット販売、店舗販売が含まれます。
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古物の修理およびメンテナンス業務
「古物の修理、再生およびメンテナンスに関する業務」- 中古品を仕入れて修理・再生し、その後販売する場合は、このような目的を記載する必要があります。
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インターネットを利用した古物の売買
「インターネットを利用した古物の販売および買取に関する業務」- ネットオークションやフリマアプリ、オンラインストアでの中古品取引を行う場合、このような記載が重要です。
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リサイクルおよびリユース事業
「リサイクル商品およびリユース商品に関する販売および買取業務」- 古物商はリサイクル業やリユース業と密接に関連しているため、これらの事業を含めることが望ましいです。
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輸出入業務
「古物の輸出入および販売業務」- 古物の輸出入を行う場合は、輸出入業務を含める必要があります。これは特に海外での中古品取引を計画している場合に重要です。
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古物の管理および鑑定業務
「古物の鑑定、評価、管理に関する業務」- 古物の真贋や価値を評価・鑑定する業務を行う場合、これを目的に明記する必要があります。
- 古物の真贋や価値を評価・鑑定する業務を行う場合、これを目的に明記する必要があります。
会社目的を設定する際のポイント
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具体的かつ広範な内容にする
会社目的は具体的にする必要がありますが、あまりに狭い範囲だと事業拡大が制限されます。そのため、古物業に関する主要な業務を網羅しつつ、事業拡大にも対応できるように「附帯する業務」を含めるのが一般的です。 -
法令に準拠した文言
古物商の許可を取得する際に、定款に記載された目的が警察署による審査でチェックされます。適切な文言を使用しないと許可が下りない可能性があるため、専門家に相談することが推奨されます。
当事務所は司法書士事務所も併設しており、会社で古物商を新たに追加しようとする際の登記手続(会社の目的変更登記)にも対応できます。
お困りのことがあれば、ご相談ください。
会社設立してすぐに建設業許可の取得はとれる?
建設業許可の条件
設立したばかりの会社でも建設業許可の取得はもちろんできます。
大まかな条件は以下のように原則設立したばかりでの会社でも変わりません。
①経営業務の管理責任者が常勤していること
→建設業許可業者での経験年数(5又は7年)を持つ者がいる
②専任技術者が常勤していること
→有資格者や一定年数以上の実務経験者がいる
③請負契約に関して不誠実な行為をする恐れがないこと
④請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用があること
⑤過去に一定の法令の規定違反をしていないこと
この中でも➃の財産要件については、新設会社の場合最初の決算を迎えていなければ資本金を500万円以上とすることでクリアされます。
また、会社に対しての過去の工事実績なども求められない為に、場合によっては新設法人の方が建設業許可の取得がしやすいケースもあります。
新設会社が建設業許可を取得する際の注意点
①経営業務の管理責任者になる方を「取締役」として登記すること
→経営業務の管理責任者になる方は「常勤の取締役」でなければいけないので、その方が会社の「取締役」として登記しておく必要があります。
また、一人取締役の会社にしておくと、万一その方が亡くなった後に建設業の事業を継続するときには、新たに役員として就任する方では経験年数があるとみなされないことがあります。
よって将来的に後継者で考えている方などはいるときは、その方も取締役として登記しておくことで、建設業許可の失効を防ぐこともできます。
②会社目的に許可を取得しようとする業種が登記されているか
→建設業許可を取得するためには、会社目的に、取得したい業種に関するものが原則登記されていなければなりません。
「建築業」などで登記しておけば、許可をしてくれる行政庁もありますが、ご自身が許可申請をする行政庁に事前に確認してから、設立登記をした方がよいでしょう。
当事務所では、司法書士事務所も併設しておりますので、会社設立登記から建設業許可取得まで全てトータルサポートが可能です。
検討されている方やお困りの方、面倒なことは任せたい方、など気軽にご相談ください。
一般社団法人の任期は短いので、注意が必要です
休眠会社の定義は法人形態によって異なります
休眠会社とは、株式会社及び一般社団法人又は一般財団法人であって、一定期間の間登記がされていない会社を指します。
株式会社と一般社団法人及び一般財団法人では登記がされていない期間に差異があり、下記のとおりとなります。
(1) 休眠会社:最後の登記から12年を経過している株式会社(特例有限会社、持分会社は含まれません。)
(2) 休眠一般法人:最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を含みます。)
この12年以内又は5年以内という期間内に登記事項証明書や印鑑証明書の交付を受けていたなどの理由は関係がなく、あくまで登記がされたかどうかとなります。
以上のように、一般社団法人では休眠会社になる期間が5年と株式会社などに比べて非常に短くなっております。
例えば、理事が1名しかいない一般社団法人では、2年毎の重任登記を忘れてしまいがちですので、気づかない内に5年経っていることも多々あります。では、この登記を放置しているとどうなるのでしょうか?
登記を放置しているとみなし解散される
- 法務大臣が、休眠会社に対し2ヶ月以内にその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべく旨を官報に公告し、かつ、休眠会社に対し、その旨の通知を発すること。
- 当該期間内に事業を廃止していない旨の届出がなく、かつ、当該休眠会社に関する登記がされないとき
みなし解散されると会社はどうなるか
実質的支配者リスト制度作成にお困りなら
実質的支配者リスト制度とは?
株式会社又は特例有限会社は、2022年1月31日以降、管轄登記所(管轄法務局)へ申し出ることにより、実質的支配者リストの交付を受けることができるようになりました。
当事務所も制度が始まってあまり期間が経っていない為に、金融機関から提出を求められた際にどうしたらよいのかご相談を受けることもあります。
それでは、具体的にどういう制度なのか確認していきましょう。
まずは、法務省のサイトにも同制度の概要については、以下のとおり記載されていますので、参考にしてください。
実質的支配者リスト制度とは、株式会社又は特例有限会社からの申出により、商業登記所の登記官が、当該株式会社又は特例有限会社が作成した※実質的支配者リストについて、所定の添付書面により内容を確認し、その保管及び登記官の認証文付きの写しの交付を受けることができる制度です。
※実質的支配者リストとは、実質的支配者について、その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面をいいます。
具体的な書面の例は以下のとおりです。
実質的支配者とは?
この制度における実質的支配者とは、次の1又は2のいずれかに該当する者です。
- 会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
- 上記1.に該当する者がいない場合は、会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
実質的支配者リスト作成の手続きについて
①実質的支配者リストの作成者
実質的支配者リストの作成者は、会社の代表者です。
②実質的支配者リストの申請者
本制度の申出は、会社の代表者だけではなく、委任を受けた代理人から提出することも可能です。
③実質的支配者リスト作成の添付書面
【添付が必要な書面】
次の(1)~(3)のいずれかの書面の添付が必要です。
(1) 申出をする日における申出会社の株主名簿の写し |
(2) 公証人が発行する申告受理及び認証証明書(設立後最初の事業年度を経過していない場合に限る。) |
(3) 法人税確定申告書別表二の明細書の写し(申出をする日の属する事業年度の直前事業年度に係るもの) |
※ 実質的支配者リストの記載と、(1)~(3)の 書面の記載とで内容が合致しない場合には、その理由を記載した書面(代表者が作成)の添付が必要です。
【添付することができる書面】
添付が必須ではありませんが、任意で添付することができます(※)。
(4) 実質的支配者の本人確認書面 実質的支配者の氏名及び住居と、同一の氏名及び住居が記載されている市区町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該実質的支配者が原本と相違ない旨を記載した謄本を含む。) ※ 本人確認書面の具体例については、下記3参照。 ※ (2)の書類を添付する場合には提出不要です((2)の別紙に含まれる本人確認書面について、(4)の書面として実質的支配者リストに記載することができます。)。 |
(5) 支配法人に係る実質的支配者の本人確認書面について、次の書面のいずれか(間接保有の場合) ・申出をする日における株主名簿の写し ・公証人が発行する申告受理及び認証証明書(設立後最初の事業年度を経過していない場合に限る。) ・法人税確定申告書別表二の明細書の写し(申出をする日の属する事業年度の直前事業年度に係るもの) ※ 実質的支配者リストの記載と、(5)の書面の記載とで内容が合致しない場合には、その理由を記載した書面(代表者が作成)の添付が必要です。 |
※ これらの書面を添付した場合には、実質的支配者リストの記載事項とすることができ、提出先となる金融機関等において、登記官が交付に当たってどの書面を確認したかが明らかになるため、実質的支配者リストの記載内容についての信頼性が高まることとなります。
➃実質的支配者リストの請求方法
申出書、実質的支配者リスト及び添付書面を、管轄登記所に提出する方法によって行います。
⑤実質的支配者リストの交付を受けるための費用
実質的支配者リストの交付に手数料はかかりませんが、専門家に依頼したときには報酬が発生します。
一般社団法人の任期の注意点
一般社団法人の役員の任期
役員の任期は株式会社(取締役)と一般社団法人(理事)では、原則2年で変わりはありませんが、株式会社では10年を超えない範囲で任期を伸長することができます。
しかしながら、一般社団法人の理事の任期は、2年を超えることが出来ません。
これは定款で定めても認められませんので、注意が必要です。
よって、理事の任期は、株式会社のように10年までは伸長することはできませんが、任期満了時の理事改選の際に再任させることは可能です。
2年毎の重任登記手続が必要となってきますので、株式会社に比べて手間やコストが掛かってくることもありますが、一般社団法人の役員については、任期の伸長がない為にやむを得ない手続きです。
では、任期満了後も重任手続きなどを放置しているとどうなるのでしょうか。
登記せずに放置していると
任期満了により退任した役員は、その役員が退任することにより役員の数が会社法または定款で定めた人数に満たなくなってしまうときは、新たに役員が選任(再任を含む)されるまでは役員としての権利義務を有します(これを権利義務理事と言います)。
そもそも1名も後任者が選任されていない場合以外にも、理事会設置法人の理事3名が任期満了したが後任者が2名しか選任されなかったケースなども含まれます。
役員としての権利義務を有してはいますが、任期が切れていることには変わりはありませんので、早急に役員を選任しなければなりません。
この役員の任期が切れているのに役員の選任をしていない状況は、役員の選任懈怠の状態ですので過料の対象となります。
さらに、一般社団法人の場合は5年以上何も登記をしていない場合は、一定の手続きを経た後に登記官の職権で解散の登記を入れられてしまいます。
一般社団法人のみならず、法人の役員変更などのご相談は当事務所にお気軽にお問い合わせください。
初回相談・費用見積書は無料で承ります。
一般社団法人設立時の最低人数
各種法人の設立時要件
新規法人設立のご相談を受ける際に最も多い法人形態はやはり株式会社ですが、近年では合同会社や一般社団法人の設立のご相談も増えております。
各種法人設立に際して、一定の人数は必要とされていますが、株式会社や合同会社では1名でも設立することができます。
では、一般社団法人でも同様に1名で設立することは可能でしょうか。
一般社団法人の設立時最低人数
一般社団法人を設立する際には、理事が1名以上、社員が2名以上必要となります。
ただし、理事会を設置する場合には、理事が3名以上、監事が1名以上設置しなければなりませんので、最低4名以上が必要となります。(理事と監事を兼ねることはできません)
尚、非営利型の一般社団法人を選択される場合には、理事の親族要件もありますので、ご注意ください。
一般社団法人の設立についての手続き等については、下記ブログもご参照ください。
https://amagasaki-shiho.com/ippanshadanhoujin_seturitutouki/
不動産業と司法書士・行政書士の関係性
不動産業を始めるにあたって
不動産業を始めるにあたって、税務面では税理士、会社設立や免許関係などでは司法書士・行政書士にご相談される方が多いかと思います。
ここでは、当事務所で取り扱っている司法書士・行政書士との関係性について説明していきます。
司法書士との関係性
司法書士の主な仕事は法務局に対しての登記手続の書類作成や代行業務です。
登記手続は、不動産の売買などに限らず、会社設立や役員変更などの商業登記も勿論含まれます。
これから不動産業を始める方は各種法人を設立されることが殆どかと思いますので、最初に会社設立に際しての書類作成や定款認証などの手続きで関係することになるでしょう。
その後、不動産業を開始した後にも、自社で不動産を購入・売却するとき、仲介業務で買主への名義変更手続きをするとき、銀行で不動産担保をつけて借入をするとき、お客様からの相続登記の相談への対応、その他にも自社の役員変更や資本金の変更などで司法書士と一緒に仕事をするケースは多くでてきます。
行政書士との関係性
行政書士の主な仕事は、行政庁に対する書類作成や手続きの代行業務です。
不動産業を始めるにあたっては、宅建業の免許取得が必要です。この免許取得の手続きについての書類作成や代行手続きを行政書士に依頼することもできます。
その後不動産業を開始した後でも本店や代表者、宅地建物取引士の変更などがあった場合には、宅建業変更届を提出する必要がありますし、一旦取得した宅建業免許の更新手続きも出てきます。
こうした各種手続きを行政書士に依頼することで、本業に集中することができるでしょう。
当事務所は、司法書士・行政書士業務の双方の取扱いができますので、不動産業を始める方にとってはワンストップで手続きを進めていくことができます。
また、事業を進めていく中での色々な相談ことにも、迅速に対応させて頂きます。
不動産業を始めようとされる方で、これからどこに相談しようかお悩みの方は、一度当事務所にご相談ください。
初回相談は無料で承っております。
宅建業許可取得トータルサポート
宅建業許可取得をご検討の方
当事務所では、司法書士・宅地建物取引士の資格を有している行政書士が、不動産屋の開業に至るまでの法人設立・免許取得までトータルでサポートさせていただきます。
面倒な書類の収集や作成などを当事務所に依頼することにより、開業に向けてのご準備に専念してはいかがでしょうか。
ご依頼によっては、創業後の資金繰りの相談にも対応させていただきます。
初回相談・見積作成は無料で承っております。
お気軽にご相談ください。
サポート料金
●宅地建物取引業免許 |
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(新規/知事) |
99,000円⇒80,000円~ ※法人設立とのセット割引(当事務所で法人設立と合わせてご依頼頂いた方には、割引価格にて対応致します。) 法人設立費用は80,000円~(登記申請まで含みます。但し、登録免許税、実費等は別途頂きます)からご相談を受け付けております。 |
33,000円
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外国会社の設立を検討されている方へ
外国会社とは
外国会社の定義は、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものとされています。
要件については、日本において取引を継続して行うときは、「日本における代表者」を定め、日本に営業所を設けていない場合には「日本における代表者」の住所地において、日本に営業所を設けた場合にはその営業所の所在地において「外国会社の登記」をしなければなりません。
日本における代表者は、日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の権限をする権限がありますが、日本人である必要はなく、外国人の方でも差支えはありません。ただし、代表者の少なくとも1人以上は日本に住所を有していなければなりません。
外国会社の登記事項などについて
外国会社が、初めて日本における代表者を定めたときは、3週間以内に定める※管轄法務局に、外国会社の登記をしなければなりません。
※管轄法務局「営業所非設置外国会社」・・・日本における代表者の住所地の管轄法務局
「営業所設置外国会社」・・・日本における営業所の所在地の管轄法務局
- 外国会社を登記する際の主な登記事項
①外国会社の設立の準拠法
②日本における代表者の氏名・住所
③日本における同種の会社又は最も類似する会社が株式会社であるときは準拠法の規定による公告の方法
④公告方法(定めがないときは、官報に掲載する方法となります) など
外国会社を登記するには
日本における代表者も決まり、必要な書類が揃ったら、実際に登記申請手続きに移ります。
「営業所非設置外国会社」でも「営業所設置外国会社」でも登録免許税及び管轄法務局の他に登記申請の大きな違いはありません。
※登録免許税は「営業所非設定外国会社」が1件につき6万円、「営業所設置外国会社」が1件につき9万円です。
一般の日本の株式会社の手続きと最も異なる点は、登記申請書に日本における代表者選任に関する通知書の到達した年月日を記載しなければなりません。
<必要書類>
①本店の存在を認めるに足りる書面
本店が、申請書に記載された所在場所に存在することを証するために添付します。定款や、本国の官庁の証明書などがこれにあたります。
②日本における代表者の資格を証する書面
日本における代表者が適法に選任されたことを証するために添付します。当該会社の契約書や、日本における代表者の宣誓書に領事又は代表団の認証した書面がこれにあたります。
③外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面
外国会社の性質・種類を識別するために添付します。具体的には、定款が該当しますが、定款だけでは識別することができないときは、当該会社の業務方法書なども添付しなければなりません。
④添付書類の認証の要否
委任状,訳文及び外国会社の本国の管轄官庁の証明書を除く上記定款,任命書又は契約書等の書類は,外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けたもの でなければなりません(日本における代表者が上記の事項を宣誓した宣誓供述書に本国の領事等が 認証したものとその訳文を添付することでも差し支えありません。)。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも立ち寄りやすい場所にあります。
当事務所は司法書士事務所も併設しております。外国会社の設立を検討されている方は、各種書類の作成や登記手続きまでサポートさせて頂きます。
お気軽にご相談ください。
一般社団法人?NPO法人?の選択に迷ったら
一般社団法人?NPO法人?
法人には大きく分けて「営利法人」と「非営利法人」の2つがあります。「営利法人」とは、株式会社や合同会社を指し、構成員(株主など)に対して当該法人の利益を分配することができる法人のことをいい、「非営利法人」とはその活動によって得た利益を構成員(社員など)に分配することができない法人のことをいいます。ただし、非営利法人であっても、あくまで利益の分配がでいないことを言うのであって、株式会社と同様に収入を得ることも、給与を支払うことも問題はありません。
一般社団法人とNPO法人は共に「非営利法人」となります。どちらも公益性の高い活動を行っている法人だろう、とイメージされる方も多いでしょう。では、非営利法人の設立を検討される方がおられる場合に一般社団法人とNPO法人のどちらを選択した方がよいのか、それぞれの違いやメリット・デメリットについて説明していきます。
一般社団法人とNPO法人の違い
一般社団法人 | NPO法人 | |
---|---|---|
設立時最低必要人員 | 2名 | 10名 |
最低限必要な役員構成 | 理事1名のみでも可
※非営利型一般社団法人の場合では、 |
理事3名、監事1名 ※親族規定による制限あり |
最低必要社員数 | 2名(設立時) | 10名(常時) |
設立に係る実費費用 |
登録免許税6万円 公証役場での定款認証費用5.12万円 |
登録免許税及び定款認証費用の負担なし |
設立までの期間 | 2週間~1ヶ月程度 |
約4ヶ月~6ヶ月前後 所轄庁での審査・公告期間があります。 |
課税(税制面) | 普通型一般社団法人は株式会社などと同じ「普通法人」扱い
非営利型一般社団法人は収益事業にのみ課税される「公益法人」扱い |
収益事業にのみ課税 |
事業目的 | 他の法律や公序良俗に反しない限り、特別な制限はない |
公益的な非営利活動として、20項目の活動が挙げられており、どれかの項目に含まれる必要がある。 主たる目的とするには、特定非営利活動の割合が50%以上を占めている必要がある。 |
定款変更する時の決議要件 | 社員総会決議 | 社員総会決議 ※変更内容によっては所轄庁の認証が必要。 |
一般社団法人と比較してNPO法人のデメリット
- 設立に際して多くの人員が必要
NPO法人の設立要件として、社員(常時)が10人以上必要です。また役員は理事3人以上、監事1人以上が必須となっており、一般社団法人と比較して多くの設立に係わる人が必要となります。
- 情報公開の義務が生じる
NPO法人は関係者だけでなく、広く市民に知ってもらい、また監督され、支えられることを目的としているために定款や事業報告書等を情報公開することが義務付けられています。そのため定款や事業報告書を事務所や所轄庁に備え置く必要があります。設立後も毎事業年度終了後に事業報告書などを所轄庁に提出しなければなりません。
- 活動内容に制限がある
NPO法人では、公益的な非営利活動として、特定された20項目の活動の分野に制限されており、以下の20項目のいずれかに含まれる必要があります。
活動分野20項目 1、 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 2、 社会教育の推進を図る活動 3、 まちづくりの推進を図る活動 4、 観光の振興を図る活動 5、 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 6、 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 7、 環境の保全を図る活動 8、 災害救援活動 9、 地域安全活動 10、人権の擁護又は平和の推進を図る活動 11、国際協力の活動 12、男女共同参画社会の形成の推進を図る活動 13、子どもの健全育成を図る活動 14、情報化社会の発展を図る活動 15、科学技術の振興を図る活動 16、経済活動の活性化を図る活動 17、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 18、消費者の保護を図る活動 19、前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 20、前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 |
※20項目に含まれるかどうかの判断は、常識的に含まれると考えられるものは、含めることができるとされています。
一般社団法人と比較してNPO法人のメリット
- 社会的信用度がより高い
NPO法人は活動内容も制限され、また情報公開が法律上、義務付けられていることから、透明度も高く、社会的な信頼性は一般社団法人に比べて高まります。
- 定款認証や設立登記の登録免許税がかからない
公証役場での定款認証や設立登記の登録免許税もかからず、初期費用が抑えられます。ただし、所轄庁に提出する書類などは煩雑ですので、労力や時間・手間はかかります。
- 税制面での優遇
法人税法上の公益法人等として扱われるため、収益事業を実施した場合にのみ課税され、会費や寄付金は非課税として扱われます。
- 理念や活動内容に共感する人材が集まりやすい
理念や活動内容が情報公開されることから明確になっており、共感を持った人材に職員やボランティアとして関わってもらいやすくなります。
NPO法人は一般社団法人に比べて、組織に携わる人員も多く、所轄庁での審査もあることから、時間・労力の面からも設立までの道のりは大変です。
しかしながら、税制面の優遇もあり、人材面の確保もしやすい点のメリットもあり、組織形態としてご自身がどこに重きを置かれているかで、どちらを選択されるかは異なってくるでしょう。
一般社団法人・NPO法人設立をご検討されている方、お困りのことなどがあれば、当事務所に気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料です。
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