遺言書の種類と特徴

このページの目次

遺言書の種類、特徴とは？

遺言書と一言でいっても、その作成方法の違いによって複数の遺言書があります。

以下、特別な事情がある場合を除いた、皆さんが知っておくべき遺言書の種類について紹介させていただきます。

作成が最も簡単で多く利用されているものです。

『遺言者』が

を『自署』（※）し、『押印』して作成する方式の遺言です。

※財産目録を除く：今では、全文直筆の必要がありましたが、法改正により、財産目録については自書以外（例：パソコン作成・通帳写しの添付）も可能となりました

紙と筆記用具さえあれば作成可能ですから、費用もかからず直ぐに作成できます。また、証人も不要ですので、遺言の内容を他人に知られることなく作成することができます。

しかし、専門家の関与なしに作成されるため要式・要件を欠いているかのチェックができず、残念ながら無効な遺言書となっている場合があります。

保管方法についても、特段取り決めもなく、通常は自身で保管することになると思いますので、紛失や、相続人に発見されず遺言が生かされないケースも多くありません。また、開封時には家庭裁判所での検認手続きが必要になりますので注意が必要です。

ただし、従来の相続法では、自筆証書遺言を公的機関などで保管する制度はありませんでしたが、以上のように自筆証書遺言は自宅などで保管されることが多く、紛失したり、破棄されたり、場合によっては偽造されたりする恐れもありました。

改正相続法では、こうした問題で起こりうるトラブルを防止するために、また自筆証書遺言を利用しやすくするために、法務局で遺言書を保管する制度が新設されました。
（令和２年７月１０日施行）

遺言書保管制度についてのリンクはこちら
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

遺言内容を公証人に口述し、公証人に作成してもらう方式の遺言です。

公証人との事前打ち合わせによって作成するために、内容の整った不備のない遺言を作成することができ、かつ公証役場で保管してもらうので遺言書の紛失や未発見という恐れがない等のメリットがあります。

後日の紛争防止には、一番適した遺言方式だといえます。

反面、公証役場が関与しますので、その分費用が多くかかってしまう点や、証人が必要となるため、遺言の内容を人に知られてしまうというデメリットがあります。

遺言書がご自身で適当な用紙で遺言書を作成し（パソコン作成、代筆可）、自署・押印したうえで封印し、公証役場にて証人の立会いの下で公証役場での保管を依頼する方式の遺言です。

全文を直筆する必要はなく、パソコンや代筆での作成も可能ですので自筆証書遺言と比べて字が書けない方でも利用が可能です。

また、封印してから持ち込みますので、遺言の内容を誰にも知らせずに済む、保管も公証役場でされますので紛失、未発見の恐れがない等のメリットがあります。

反面、自筆証書遺言と同様、遺言書作成自体に専門家の関与がないため無効な遺言となってしまう危険性があります。また、費用がかかってしまうというデメリットもあります。

また、開封時には、家庭裁判所での検認手続きも必要になってきます。

	自筆証書遺言	公正証書遺言	秘密証書遺言
作成方法	自分で遺言の全文・氏名・日付を自署し押印する	公証役場へ行き、証人2人の立会いの下、本人が遺言内容を口述し、それを公証人が記述する	本人が作成し署名・押印した後に封筒へ封印し、公証役場にて証人の立会いの下保管を依頼する
証人	不要	証人2人以上必要	公証人1名・証人2人以上必要
家庭裁判所の検認（＊）	必要	不要	必要
メリット	・作成が簡単・費用がかからない・遺言内容を誰にも知られずに済む	・紛失、未発見の心配がない・要式不備がなく無効の心配がない	・紛失、未発見の心配がない・遺言内容を誰にも知られずに済む
デメリット	・要式不備により無効となる恐れがある・紛失、未発見の恐れがある・開封には家庭裁判所の検認手続きが必要となる	・遺言内容が証人に知られてしまう・費用がかかる	・要式不備により無効となる恐れがある・開封には家庭裁判所の検認手続きが必要となる

（＊）家庭裁判所の検認

遺言書の発見者・保管者は、遺言者の死亡を知った後遅滞なく遺言書を家庭裁判所へ提出して、その検認を請求しなければならないとの法律の取り決めのことです。

相続人に対して遺言の内容及び存在を知らせるとともに、遺言書の形状、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続き。あくまで形式的なものであり、遺言の有効、無効を判断する手続きではありません。

このように遺言書を作成するにも、はいくつかの種類と特徴があります。

どの遺言方式が自身に合っているのかご不安な方は当事務所にお気軽にご相談ください。

当事務所にて事案に応じた最適な遺言書の作成方法をご提案し、お客様のご意思に沿った遺言書作成のお手伝いをさせていただきます。