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ビザ(査証)と在留資格
一般的にビザというと、パスポートに押されるスタンプなどイメージすることが多いでしょう。このビザ(査証)は、外国人が日本に入国する際に、パスポートが真正なもので、かつ日本への入国や滞在が適当であることの「推薦状」の性質をもつものです。あくまで入国を保証するものではありません。
ビザ(査証)は、外国にある日本大使館(領事館)が発行するもので、有効期間は3ヶ月となります。
例えば、短期滞在(観光など)で入国しようとする際に、ビザ(査証)が必要となりますが、ビザ(査証)が免除されている国のパスポートを持っている場合でない限りは、ビザ(査証)の申請をする必要があります。
一方で、「在留資格」についても、通称ビザと呼んでおり、在留資格の手続きの説明については便宜上、「在留資格」もビザとして説明していきます。
「在留資格」とは、外国人の方が日本に滞在するために必要なもので、在留資格で許可された活動を日本国内で行うことを許可するものです。
外国人を採用する際や、国際結婚をした方が入国する際にビザが必要になってきますが、この場合のビザは「在留資格」を指しています。在留資格は入国管理局が審査するもので、日本に入国した後の滞在根拠を証明するものです。
ビザ(査証)は日本に入国するために必要なもので、「在留資格」(ビザ)は日本に入国後に外国人が日本で活動するための資格といえるでしょう。
在留資格(ビザ)とは
「在留資格」とは、外国人が日本に滞在して活動を行うために必要な資格のことです。
日本国内では現在29種類の在留資格が存在し、それぞれ許可されている活動が異なります。
例えば、日本に観光や親族の訪問、講習の参加などの目的で来ている外国人には「短期滞在」のビザ(在留資格)を持っています。この「短期滞在」という在留資格では、アルバイトなどの就労は目的外となるために、行うことはできません。
日本に就労を目的として活動を行う場合には、「技能」「技能実習」「企業内転勤」「経営・管理」など他の就労系のビザ(在留資格)が必要となります。
ビザ(在留資格)の種類
ビザの種類には、主に「身分系ビザ」と「就労系ビザ」に分けられます。
「身分系ビザ」(活動制限なし)
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
「就労系ビザ」(活動制限あり、仕事内容によって種類が異なる)
技術・人文知識・国際業務、高度専門職、経営・管理、芸術、技能、特定技能、技能実習など
ビザ(在留資格)一覧
日本国内では現在29種類のビザが存在し、それぞれ許可されている活動や要件が異なります。いずれのビザを取得するにも、要件などに合致している必要があり、満たしていないとビザ申請は許可されません。
ビザの種類 |
該当例 |
在留期間 |
就労可能 |
外交 |
外国政府の大使、総領事、代表団構成員等及びその家族 |
外交活動の期間 |
〇 |
公用 |
大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者及びその家族 |
5年、3年、1年、3月、30日又は15日 |
〇 |
教授 |
大学教授等 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
芸術 |
作曲家、画家、著述家等 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
宗教 |
外国の宗教団体から派遣される宣教師等 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
報道 |
外国の報道機関の記者、カメラマン |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
高度専門職(1号、2号) |
就労資格の決定の対象となる範囲の外国人で、学歴・職歴・年収等の項目ごとにポイントを付け、その合計が一定点数(70点)以上に達した者(ポイント制) |
1号(5年) 2号(無制限) |
〇 |
経営・管理 |
企業等の経営者・管理者(マネージャー、工場長等) |
5年、3年、1年、6月、4月又は3月 |
〇 |
法律・会計業務 |
弁護士、税理士、行政書士等 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
医療 |
医師、歯科医師、薬剤師、看護師等 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
研究 |
政府関係機関や私企業等の研究者 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
教育 |
中学校・高等学校等の語学教師等 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
技術・人文知識・国際業務 |
機械工学等のシステムエンジニア、翻訳・通訳、デザイナー、マーケティング・経理業務従事者等 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
企業内転勤 |
外国の事業所などからの転勤者 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
介護 |
介護福祉士の有資格者 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
興行 |
俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手 |
3年、1年、6月、3月又は15日 |
〇 |
技能 |
外国料理の調理師、スポーツ指導者、貴金属等の加工職人等 |
5年、3年、1年又は3月 |
〇 |
特定技能(1号、2号) |
特定産業分野(14業種)に属する相当程度の知識又は経験や技能を要する業務に従事する外国人等 |
1号(1年、6月又は4月) 2号(3年、1年又は6月) |
〇 |
技能実習(1号、2号、3号) |
技能実習生 (1号イ(企業単独型)、1号ロ(団体監理型、2号イ(企業単独型)、2号ロ(団体監理型、3号イ(企業単独型)、3号ロ(団体監理型)の6種類) |
1号(1年を超えない範囲) 2号(2年を超えない範囲) 3号(2年を超えない範囲) |
〇 |
文化活動 |
茶道、華道、日本舞踊等の研究者等 |
3年、1年、6月又は3月 |
× |
短期滞在 |
観光、親族訪問、会議参加者等 |
90日もしくは30日又は15日以内の日を単位とする期間 |
× |
留学 |
大学、専門学校、高校、中学校、小学校 |
4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月又は3月 |
× |
研修 |
本邦の公私の機関により受け入れられる研修生 |
1年、6月又は3月 |
× |
家族滞在 |
「教授」「「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」「文化活動」「留学」の在留資格(ビザ)をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子 |
5年、4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月又は3月 |
× |
特定活動 |
高度人材専門職の配偶者、外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー、大学生のインターンシップ等 |
5年、3年、1年、6月、3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
△(指定された就労活動のみ) |
永住者 |
法務大臣が永住を認める者 |
無期限 |
〇 |
日本人の配偶者等 |
日本人の配偶者、日本人の特別養子、日本人の子として出生した者 |
5年、3年、1年又は6月 |
〇 |
永住者の配偶者等 |
永住者等の配偶者、特別永住者の配偶者、永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 |
5年、3年、1年又は6月 |
〇 |
定住者 |
日系3世、中国残留邦人等 |
5年、3年、1年又は6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
〇 |
また、同時に2つのビザをもつこともできません。
現在もっているビザ(在留資格)の活動内容に加えて、他のビザ(在留資格)の活動を行いたいときには「資格外活動許可」の申請が必要です。
また、ビザ(在留資格)にはそれぞれ在留期間が制限されています。どのような目的でどれくらい日本に滞在できるかはビザ(在留資格)の種類と在留期間のセットで考える必要がありますが、在留期間が到来しても、在留期間内に在留許可の更新手続きをし、許可を得ることで日本に滞在する期間を延長することも可能です。
ビザ(在留資格)の手続き
ビザを取得するには、大きく分けて3つの方法があります。
① 直接外国人の方がビザを取得する
日本に入国したい外国人が、直接、自分の国にある日本大使館(領事館)でビザ(在留資格)を申請します。日本の空港などで入国管理局の審査を受け、入国が認められるとビザ(在留資格)を得ることができます。⇒短期滞在での観光目的などはこちらになります。
② 日本に呼び寄せる人が在留資格認定証明書を取得する
外国人の方を雇用したい場合には外国人を受け入れる企業や団体が、入国管理局へ「在留資格認定証明書」を申請し、許可を得ます。許可を得た「在留資格認定証明書」を外国人の方に送付し、本人が自国の日本大使館(領事館)でビザ(査証)を申請し、在留資格認定証明書とパスポートをもって日本に入国します。
在留資格認定証明書の有効期間は3ヶ月となっていますので、その期間内に入国手続きをとる必要があります。
③ ビザ(在留資格)を変更する
既に日本にいる外国人の方が、日本滞在の目的が変わった場合に、入国管理局でビザ(在留資格)の変更を申請する手続きとなります。
短期滞在で日本に来たあとに、就職が決まったなどのケースでは就労系の「在留資格変更許可申請」の手続きをする必要があります。
在留カードとは
在留カードとは、日本で就労や留学などの中長期の滞在をする場合に外国人に交付されるもので、短期滞在(観光など)の場合は発行されません。
在留資格や在留期間が適法であることを証明するものとなりますので、16歳未満の方を除き、常に携帯する義務があります。
在留カードには氏名・生年月日・性別・国籍・在留資格・就労制限の有無などが記載されており、新千歳空港,成田空港,羽田空港,中部空港,関西空港,広島空港及び福岡空港では空港にて交付されます。その他の出入国港ではパスポートに上陸許可の証印がされた「在留カード後日交付」の記載がなされます。
上記以外の出入国港から入国された場合、中長期在留者が市区町村の窓口に住居地を届出たあと、在留カードが入国管理局から当該住居地あてに簡易書留で郵送されます。
ビザ(在留資格)に変更などがあった場合には、入国管理局へ提出しなければなりません。
ビザ(在留資格)申請の手続きは、申請書類の作成や必要書類の収集、原則本人が入国管理局へ出頭する必要もあり、複雑で手間がかかる手続きです。またビザ(在留資格)の種類も多くあり、どのビザに該当するかの判断が難しいケースも出てきます。
申請取次行政書士
ビザの申請手続きは、原則本人申請により、申請した本人が入国管理局へ出頭する必要があります。しかしながら、当事務所は「申請取次行政書士」の資格をもっており、申請人に代わって、入国管理局へ申請書や必要書類を提出したり、在留カードを受取ることができます。よって、お客さまの労力や時間、精神面での負担も軽減されますので、ご安心ください。
手続きの流れや費用、許可までの日数、在留資格が取得可能か、などご不安な点やご不明な点がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
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