NPO法人の設立

NPO法人とは

NPO法人とは、日本では「特定非営利活動法人」といいます。

非営利とは、その活動によって得た利益を構成員に分配しないことをいい、サービスの提供などにより収益を得ること自体は問題ありません。

ただ、その利益を構成員に配当や報酬として分配することはできませんので、あくまでその利益は団体の目的の実現のために活動に使わなければなりません。

非営利で構成員に配当などを分配できないからといって、職員は無償で活動しなければならないとすると組織としては存続することはできませんので、NPO法人の職員が報酬を受け取って事業をすることは全く問題ありません。また、従業員や職員に支払う給与は、労働の対価として適当な額であれば、事業実施のための費用として考えられるので、利益の分配にもあたりません。

要はそのNPO法人本来の活動の目的に沿っているものであれば、収入を得ることも構成員などに給与を支払うことも問題はないということです。

 

NPO法人のメリット

  • 社会的信用度が増す
    NPO法人は情報公開が法律上、義務付けられており、透明性も高く、社会的な信頼性も高まります。
  • 定款認証や設立登記の登録免許税がかからない
    公証役場での定款認証や、設立登記の登録免許税もかからず、初期費用が抑えられます。
  • 収益事業のみ法人税が課税される
    法人税法上の公益法人等として扱われるため、収益事業を実施した場合にのみ課税され、会費や寄付金は非課税として扱われます。
  • 理念や活動内容に共感する人材が集まりやすい
    理念や活動内容が情報公開されることからも明確となっており、共感を持った人材に職員やボランティアとして関わってもらいやすくなります。

 

NPO法人のデメリット

  • 情報公開の義務が生じる
    NPO法人は関係者だけではなく、広く市民に知ってもらい、また監督され、支えられる目的としているために定款や事業報告書等を情報公開することが義務付けられています。
    そのため、定款や事業報告書等は事務所や所轄庁に備え置く必要があります。
  • 活動内容に制限がある
    NPO法人では、公益的な非営利活動として、特定された20項目の活動の分野に制限されています。
  • 設立に際して多くの人員が必要
  • NPO法人の設立要件として、社員(常時)が10人以上必要です。また、役員は理事3人以上、監事1人以上が必須となります。株式会社が1人でも設立できることから比べても、多くの設立に関わる人が必要となります。
  • 所轄庁への各種手続きが必要
    NPO法人を設立するには、所轄庁の認証を受けなければなりません。また、設立後も毎事業年度終了後に事業報告書等を所轄庁に提出しなければなりません。

 

NPO法人の活動目的について

NPO法では、公益的な非営利活動として、20項目の活動が挙げられています。NPO法人が行う活動については、以下の20項目のいずれかに含まれる必要があります。

活動分野20項目

  1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  2. 社会教育の推進を図る活動
  3. まちづくりの推進を図る活動
  4. 観光の振興を図る活動
  5. 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
  6. 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  7. 環境の保全を図る活動
  8. 災害救援活動
  9. 地域安全活動
  10. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  11. 国際協力の活動
  12. 男女共同参画社会の形成の推進を図る活動
  13. 子どもの健全育成を図る活動
  14. 情報化社会の発展を図る活動
  15. 科学技術の振興を図る活動
  16. 経済活動の活性化を図る活動
  17. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
  18. 消費者の保護を図る活動
  19. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
  20. 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

※20項目に含まれるかどうかの判断は、常識的に含まれると考えられるものは、含めることができるとされています。

また、主たる目的とするには、特定非営利活動の割合が50%以上占めてなければならず、具体的には活動の事業費の金額などを見て、総合的に判断されます。

一般社団法人?NPO法人?

一般社団法人とNPO法人は共に「非営利法人」となります。どちらも公益性の高い活動を行っている法人だろう、とイメージされる方も多いでしょう。では、非営利法人の設立を検討される方がおられる場合に一般社団法人とNPO法人のどちらを選択した方がよいのか、下図で簡単に纏めていますので参考にしてください。

一般社団法人とNPO法人の違い

  一般社団法人 NPO法人
設立時最低必要人員 2名

10名
最低限必要な役員構成 理事1名のみでも可

※非営利型一般社団法人の場合では、
理事3名、監事1名必要

理事3名、監事1名 ※親族規定による制限あり
最低必要社員数 2名(設立時)

10名(常時)
設立に係る実費費用

登録免許税6万円

公証役場での定款認証費用5.12万円

登録免許税及び定款認証費用の負担なし
設立までの期間 2週間~1ヶ月程度

約4ヶ月~6ヶ月前後

所轄庁での審査・公告期間があります。

課税(税制面) 普通型一般社団法人は株式会社などと同じ「普通法人」扱い

非営利型一般社団法人は収益事業にのみ課税される「公益法人」扱い

収益事業にのみ課税
事業目的 他の法律や公序良俗に反しない限り、特別な制限はない

公益的な非営利活動として、20項目の活動が挙げられており、どれかの項目に含まれる必要がある。

主たる目的とするには、特定非営利活動の割合が50%以上を占めている必要がある。

定款変更する時の決議要件 社員総会決議 社員総会決議
※変更内容によっては所轄庁の認証が必要。

■NPO法人設立手続きの流れ

NPO法人の設立は、通常は以下のような流れとなります。

NPO法人は株式会社と違い、公証役場での定款認証は不要です。

また、出資金の払込証明なども必要ありません。

 

1、設立準備会(発起人会)開催

2、認証申請書類の作成

3、審査・公告

4、認証・不認証の決定

5、法務局への設立登記申請

6、登記の完了

7、届出

 

1、設立準備会(発起人会)の開催

NPO法人を設立したいと考える人たちが集まり、以下のような事項について検討していきます。

  • 目的
  • 定款の起案
  • 事業計画、予算案の作成
  • 10人以上の社員の確保
  • 組織体制の検討
  • 役員案の検討 など

 

2、認証申請書類の作成

設立準備会で検討した内容をもとに、作成した各種申請書類を所轄庁に提出します。通常は書類の不備から1度で受理されることは少なく、計画的に準備していくことがよいでしょう。

 

3、審査・公告

所轄庁は、認証申請書を受理後インターネットに掲示し、公表します。

また、インターネットなどにおいて定款、役員名簿、事業計画書などが一般に公開(縦覧)されます。
縦覧期間終了後、1~2ヶ月以内に審査が行われます。

 

4、認証・不認証の決定

認証の場合は認証書が交付されます。不認証の場合はその理由を記した書面で通知されます。認証された場合は、認証書が到達した日から2週間以内に法務局に設立登記申請を行う必要があります。

 

5、法務局への設立登記申請

※設立登記の代理申請は行政書士ではできません。

認証書の写し・定款の写し・就任承諾及び誓約書の写し・設立時の財産目録の写し代表者の印鑑証明書の写しなど必要な書類を集めた上で、登記申請の手続きを法務局へ申請します。

 

6、届出

登記が終わりましたら、所轄庁に以下の書類を提出します。

  • 設立登記完了届出書 1部
  • 登記事項証明書 1部
  • 登記事項証明書の写し 1部
  • 設立時の財産目録 2部
  • 認証書の写し

 

当事務所にNPO法人設立手続を依頼するメリット

  1. 司法書士事務所も併設しており、ワンストップで登記手続まで対応できます。
    行政書士の業務としては、各種申請書類や定款作成までとなりますので、登記手続きの申請は代行することはできません。
    ただし、当事務所では司法書士事務所も併設しておりますので、お客さまが登記申請だけどこか司法書士事務所を探す手間もなく、ワンストップで行うことができます。
  2. 創業時の資金繰りの悩みにも対応
    当事務所では、主に日本政策金融公庫の中小企業向け創業資金調達サポートも行っております。融資を受けるための説得力のある申請書類のお手伝いをいたします。
  3. 他の専門家(弁護士、税理士、社会保険労務士など)のご紹介にも無料で対応いたします。

NPO法人の設立をお考えの方は、当事務所に一度ご相談ください。トータルサポートにて対応いたします。

 

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