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遺産分割協議書が必要ないケース

2023-08-17

遺産分割協議書とは

亡くなられた方(被相続人)が遺言書を作成していたときには、その内容に従って遺産は分割されますので、遺産分割協議書は原則必要ありません。しかし、被相続人が遺言書を作成していないケースではどういう形で遺産を分割すればよいでしょうか。遺言がない場合であっても、被相続人の死亡後の相続人及びその割合は法律で定められています。一般的には「法定相続人」(法律で定められた相続財産等を取得する人)が「法定相続分」(法律で定められた相続割合)によって遺産を分割することとなります。遺産分割協議書はこのような法律で定められた相続割合を変更するときに必要となってきて、遺産分割協議をすることで自由に相続人の相続割合を変更することが可能となります。

よって、遺産分割協議自体は必ずしもしなければならないわけではありません。

それでは、具体的に遺産分割協議書が必要ないケースについて説明していきます。

遺産分割協議書が不要なケース

  • 相続人が1名のみの場合

相続人が1人しかいない場合は、その人が全ての遺産を相続することになるため、そもそも遺産分割協議書は必要ありません。

その他にも相続人がもともと複数名いたが、他の相続人が相続放棄をした為に、結果的に相続人が1人になった場合にも必要ありません。

  • 遺言書の内容に沿って遺産分割する場合

相続が発生したら、まず遺言書があるかどうかを確認します。遺言書があった場合には、遺言書に書かれた内容に沿って遺産を分けますので、遺産分割協議書は必要ありません。

ただし、遺言があっても相続人全員で話し合った結果、遺言とは違う内容で遺産を相続する場合には、遺産分割協議書は必要です。

  • 法定相続分の割合で分割する場合

遺言書がない場合でも、法定相続分どおりに遺産を分割するようであれば、遺産分割協議書は必要ありません。法定相続分とその順位などは以下のとおりとなります。

法定相続分

相続人が「どの割合」で相続分を持つのかは、以下のとおり法律で定められています。

相続人
法定相続分
配偶者と第1順位相続人(子)
配偶者   2分の1
第1順位相続人
2分の1
配偶者と第2順位相続人(両親など)
配偶者   3分の2
第2順位相続人 
 3分の1
配偶者と第3順位相続人(兄弟姉妹)
配偶者   4分の3
第3順位相続人  
4分の1

配偶者は必ず相続人になり、相続人が配偶者しかいなければ、配偶者が全て相続します。また、相続人が第2順位や第3順位の相続人しかいなければ、その順位の方が相続します。同一順位に複数の相続人がいあれば、均等に相続分を分けることになります。例えば、相続人が配偶者、子2名の場合には、配偶者が2分の1、子2名が各々4分の1づつ相続することとなります。

法定相続人の順位

配偶者がいれば配偶者は必ず相続人となります。その他、配偶者とともに、子、両親、兄弟姉妹がその順位に応じて相続人となります。

順位
被相続人との関係
第1順位相続人(常に)
配偶者
第1順位相続人
第2順位相続人
直系尊属(両親など)
第3順位相続人
兄弟姉妹

第1順位相続人は、その時に存在していれば、必ず相続人となりますが、第2順位や第3順位の人は、自分より前の順位の相続人が全ていないときに初めて相続人となります。よって、被相続人に子がいれば、被相続人の両親や兄弟姉妹は相続人となりません。

遺産分割協議書の作成や方法について、お困りのことがあれば当事務所に気軽にご相談ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

公正証書遺言をお勧めする理由

2023-07-27

公正証書遺言が望まれる理由

現在法律で認められている遺言には、以下の3種類あります。

「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」です。

一般的に「自筆証書遺言」の利用が最も多いのではないかと思いますが、この中で最も確実な遺言は「公正証書遺言」といえます。

公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言のことで作成した遺言について、遺言者の他、証人2名が立会して署名捺印の上作成します。

公証人が、中立・公正な立場に立って、場合によっては法律的なアドバイスをしてくれますので、形式的に無効な遺言が作成することはまず考えられません。

折角自筆で遺言を作成しても、それが無効なものであれば、かえって相続人が混乱してしまうこともあります。

ここでは、最も確実性の高い「公正証書遺言」について説明をしていきます。

公正証書遺言の作成手順

①遺言の内容を考える

まずは、遺言を残そうとされる方ご自身でおおまかな遺言の内容を考えます。

例えば、ご自身の財産内容(預貯金、不動産、株など)を洗い出し、どの財産を誰に渡したいか、などです。

大体の内容が決まったら、遺言の原案を作成します。当事務所では、お客さまに遺言内容についてヒアリングさせて頂くことで、意向に沿った遺言案を一緒に作成していきます。

②公証人と遺言案について相談

遺言案が完成したら、公証人と相談しながら、適宜修正などを行って遺言書を完成させます。

③証人2名の立ち会いのもとで署名捺印する

遺言の本文が完成すると、いよいよ遺言に署名捺印をします。

当日は遺言者と証人2名が立会のもと、公証人が遺言を読み上げます。内容に間違いがなければ、遺言の原本に署名捺印します。

この原本には立ち会った証人2名も署名捺印を行うなど、厳格な手続きで進められます。

署名捺印が終了すると、公正証書遺言は完成します。

➃遺言の原本は公証役場で保管してもらう

公正証書遺言が完成すると、原本は公証役場で保管してもらいます。正本や謄本を貰うこともできますが、万一紛失しても原本は公証役場にあるますので、心配は不要です。

公正証書遺言のメリット

  • 確実性の高い方法で遺言書を作成・保管できる

公正証書遺言では、事前に公証人との確認も行われる為に、形式的に不備がある遺言などが作成されるリスクは極めて低いです。

また、公証人の面前で署名捺印を行う為に、自筆証書遺言でよくある「本当に本人が書いたのか」など疑われることもありません。

また、原本も公証役場で保管される為に、自筆証書遺言と異なり、紛失などのリスクもありません。

その他にも自筆証書遺言の争いごとでよくある「誰かが自分に都合の良いように遺言の内容を書き換えたり、破棄されてしまう」といった恐れもないでしょう。

  • 裁判所での検認手続きをしなくてよい

自筆証書遺言が残されている場合は、ご遺族が無断で遺言を開封することはできません。(開封してしまうと過料が請求されることもあります)

遺言を発見したら、封筒を開封する前に、まず家庭裁判所で手続きを行わなければいけません。この家庭裁判所での手続きのことを、「検認(けんにん)」といいます。

検認は、管轄の家庭裁判所で手続きが必要です。戸籍の収集や家庭裁判所への申請などで多くの時間がとられてしまうこともあるでしょう。

公正証書遺言の場合は、この家庭裁判所での検認手続きを省略することができます。

公正証書遺言のデメリット

  • 公正証書遺言には手数料がかかる

公正証書遺言を作成するためには、公証役場に手数料を支払わなければいけません。手数料の金額は、相続財産の価額によって異なりますが、数万円程度はかかることが大半です。

  • 公正証書遺言でも絶対はない

公正証書遺言は公証人が事前に確認を行う為に、形式的なミスが生じるおそれはありません。

また、公証人の面前で署名捺印をする為に、その際の意思確認はとれているはずですが、認知症の方でその状況によっては、日によって判断能力が異なってくることもあります。

一般的な会話ではその症状に気づかない可能性もあり、そういったケースで後に遺言作成時の判断能力を争うといったことも考えられます。

確実性の高い遺言といえますが、絶対ではないということです。

 

当事務所では、公正証書遺言について原案の作成から公証人とのやり取りまで、全てサポートさせて頂きます。

公正証書作成をご検討されている方は、気軽にご相談ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

遺言作成に関するご相談でよくあるケース

2023-07-07

遺言作成に関するご相談

当事務所にも、遺言作成についてのご相談をよく受けますが、ここでは遺言作成を思い立ったキッカケで多い事項や遺言作成をお勧めするケースについて説明していきます。

・相続人がいないため財産を寄付したい

相続人が誰もいない場合(親族がいない、親族はいるが全員が相続放棄している)は、その財産は最終的には国庫に帰属されます。遺言をのこすことにより、特定の慈善団体や公共団体に寄付することができます。

・子どもがいない

子どもがいない夫婦においては、配偶者に全財産を相続させたい、あるいは住んでいる家は配偶者にそのまま継続して住んでほしいと考えることも多いでしょう。子どもがいない場合の法定相続人は亡くなられた方の親がまだ生きている場合はその親と配偶者、既に親も亡くなられている場合は亡くなられた方の兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。

特に兄弟姉妹と配偶者が相続人のケースでは、お互いが疎遠であったり意思疎通が上手くいかないことで、紛争になってしまうケースが多いのではないでしょうか。

兄弟姉妹には遺留分がありませんので、配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合は、遺言(全財産を妻に相続させる)をのこしておくことによって配偶者にすべて相続させることができます。

・相続人以外のお世話になった人に財産を渡したい

遺言がない場合、特定のケースを除いて相続人以外の人には財産は渡りません。
子や兄弟姉妹などの相続人は生きているが、財産をそれ以外の人にのこしたいのであれば遺言をのこしておく必要があります。

・帰化したことを子どもに知られたくない

通常相続が発生した場合には、金融機関などの手続きで亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本等が必要となってきます。

帰化した方については、帰化してからの戸籍謄本は取得できますが、帰化する前の戸籍については日本の役所で取得することはできません。

自身が生まれた国の大使館などで書類を集めなければならず、その過程で子どもに知られてしまうこともあるでしょう。

両親の氏名が日本名になっているかなどの諸条件はあるものの、遺言を残しておくことで、戸籍の取得も軽減されることとなり、結果相続人の労力も少なくなることでしょう。

・相続人のうちの誰かに、他の相続人より多く遺産をのこしたい

遺言がないと、原則各相続人の取り分は法定相続割合で決まってしまいます。

最期まで看病をしてくれた相続人、将来的にお金が必要になるであろう相続人がいる場合など、特定の相続人に多く財産をのこしたいのであれば、遺言を残しておくことでご自身の意思に沿った財産の分け方をすることができます。

・自身が会社経営をしている

相続人が複数おり、特定の相続人に事業を引き継いでもらいたいケースなどでは、遺言でその旨を指定することができます。

遺言がないと相続人が事業や株式が分割されてしまい、後々の紛争の種となる可能性もあります。

・先妻との間に子がいる、養子がいる

このようなケースでは、相続人同士で全く面識がないことも多く、話し合い自体にも進まなかったり、争いになるケースも多くでてきます。

遺言を残しておくことで、争いのリスクを下げることができます。

・相続人同士の仲が悪い、相続人が多数いる、相続財産が多い

相続人間の仲が悪い、相続人が多数いる場合には、話し合いをすること自体難しく、またそれをまとめることも非常に大変な作業となってきます。

遺言を残しておくことで、争いのリスクを下げることができます。

・内縁の夫婦がいる

内縁の夫・妻は、内縁の相手方の法定相続人ではありません。例えば、亡くなった内縁の夫に法定相続人がいる場合、遺言を残しておかないと内縁の妻は、内縁の夫の財産を貰うことができなくなります。

 

いずれのケースでも、遺留分に配慮した遺言を作成するなど注意が必要となることもあります。

遺言作成でお困りのことや、不安なことなどあれば当事務所にご相談ください。

建設業許可の相続手続きについて

2023-06-26

建設業許可は相続できるのか

親子で建設業を営んでいるケースなどでは、親が亡くなられた後に子へ建設業許可を相続させることは可能です。

ただし、無条件で相続することはできません。

許可を受けるには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 個人事業主が亡くなった日から30日以内に認可の申請が済んでいること
  • 亡くなられた個人事業主が営業していた建設業の全てを引き継ぐ事
  • 亡くなられた方(被相続人)と相続人が同一の業種で異なる許可の区分を受けていないこと                                                   例えば、被相続人と相続人が同一の業種で特定建設業許可と一般建設業許可の異なる区分の許可を受けている場合は、どちらかの許可を廃業することで相続できます。
  • 建設業の許可の要件を満たしていること                                                                            新規許可を受けるときと同様に①経営業務の管理責任者②常勤の専任技術者③財産的基礎要件➃欠格事由に該当していないこと⑤社会保険に加入していること                       などの諸条件を満たしている必要があります。
 

認可の申請の手順

建設業許可の相続手続きは、通常は以下のような流れとなります。

最も気を付ける点は、亡くなられてから「30日以内」に申請をすることです。

30日以内に申請されない場合には、廃業届を出し新規で許可申請をすることとなります。

 

1、建設業許可を受けている個人事業主が亡くなられてから30日以内に申請

2、行政庁による審査

3、行政庁からの通知(許可・不許可問わず)

 

建設業許可に関することでお困りの方は、気軽にご相談ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

 

 この記事の監修

帰化したことを相続人に分かりづらくするには

2023-06-16

帰化した後の戸籍の状態

帰化を検討されている方、既に帰化されている方など、帰化した後のご自身の戸籍の状態が気になることもあるでしょう。

中には子どもたちに元々外国籍だったことや帰化したことをお話されていないなど、ご事情によっては将来的に分かられたくないこともあると思います。

今回はこの点について、ご説明していきます。

帰化は戸籍から分かる

結論からいうと、帰化したことは戸籍に記載される為に、戸籍を遡っていけば帰化したことは分かってしまいます。

戸籍から帰化した旨を削除するような手続きもありません。

本籍地を変える(転籍)ことによって、帰化した旨が記載されている戸籍から新しく戸籍がつくられる為に、多少は分かりづらくなりますが、両親が帰化していなければ氏名の記載などから、いずれにしても分かってしまうこともあります。

両親が帰化して日本名になっていれば、更にご本人も転籍をすることで、遡って戸籍を追っていかない限り、帰化されたことは分かりづらくなるでしょう。

もし、上記のようなケース(両親が帰化しており、ご自身も転籍などしている)に当てはまるのであれば、帰化したことが相続人に分かりづらくする為に書類集めを簡略化した相続手続きをすることもできます。

帰化した後の相続手続き

日本に帰化された方が亡くなった場合には、通常の日本の相続手続きとなります。

よって、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本等が必要となります。
この場合、帰化した後の戸籍関係は日本で取得できますが、出生から帰化する前までの戸籍については日本にありません。

帰化前に国籍をおいていた国から取り寄せていかなければなりません。

例えば、韓国では家族関係証明書、基本証明書、婚姻関係証明書などで法定相続人を特定します。

アメリカでは、出生証明書・結婚証明書・死亡証明書などが必要となってきて、それらの書類により相続人を特定し、相続人全員で「私たちは被相続人の相続人であり、私たち以外に相続人はいませんという旨の宣誓供述書を作成し、 当該国の在日領事館や公証人の認証を受けます。

これらの書類を相続人が集めるのは、大変苦労しますし、費用や時間もかかってきます。

そこで当事務所では帰化された方については、相続手続きで残された相続人が困らないように公正証書遺言の作成をお勧めしております。

公正証書遺言のメリット

①自筆証書遺言や秘密証書遺言では、被相続人が亡くなった後に遅滞なく、家庭裁判所への遺言書の検認手続きが必要となりますが、公正証書遺言ではその手続きが不要です。

よって公正証書遺言は、検認手続きを経ることなくそのまま相続登記の添付書類として使用することができます。
公正証書遺言の原本は公証役場に保管されているため、正本または謄本を相続登記の申請書に添付することになります。
②相続登記の手続きについても、遺言執行者を定めておければ、その者と不動産を承継する方のみで申請することができ、他の相続人の関与は必要ありません。

③戸籍関係についても、出生から取り寄せる必要はなく、亡くなられ方については最後の戸籍(除籍)謄本のみで足ります。

以上のように公正証書遺言を残しておくことで、遺言書に偽造・紛失及び相続人同士の紛争が起きるリスクも減り、また相続手続きについても必要書類の簡素化や検認手続きが要らないなどの手間を省くこともでき、当事務所では、遺言を作成される際には公正証書遺言をお勧めしております。

会社設立してすぐに建設業許可の取得はとれる?

2023-06-09

建設業許可の条件

設立したばかりの会社でも建設業許可の取得はもちろんできます。

大まかな条件は以下のように原則設立したばかりでの会社でも変わりません。

①経営業務の管理責任者が常勤していること

→建設業許可業者での経験年数(5又は7年)を持つ者がいる

②専任技術者が常勤していること

→有資格者や一定年数以上の実務経験者がいる

③請負契約に関して不誠実な行為をする恐れがないこと

④請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用があること

⑤過去に一定の法令の規定違反をしていないこと

 

この中でも➃の財産要件については、新設会社の場合最初の決算を迎えていなければ資本金を500万円以上とすることでクリアされます。

また、会社に対しての過去の工事実績なども求められない為に、場合によっては新設法人の方が建設業許可の取得がしやすいケースもあります。

 

新設会社が建設業許可を取得する際の注意点

①経営業務の管理責任者になる方を「取締役」として登記すること

→経営業務の管理責任者になる方は「常勤の取締役」でなければいけないので、その方が会社の「取締役」として登記しておく必要があります。

また、一人取締役の会社にしておくと、万一その方が亡くなった後に建設業の事業を継続するときには、新たに役員として就任する方では経験年数があるとみなされないことがあります。

よって将来的に後継者で考えている方などはいるときは、その方も取締役として登記しておくことで、建設業許可の失効を防ぐこともできます。

②会社目的に許可を取得しようとする業種が登記されているか

→建設業許可を取得するためには、会社目的に、取得したい業種に関するものが原則登記されていなければなりません。

「建築業」などで登記しておけば、許可をしてくれる行政庁もありますが、ご自身が許可申請をする行政庁に事前に確認してから、設立登記をした方がよいでしょう。

 

当事務所では、司法書士事務所も併設しておりますので、会社設立登記から建設業許可取得まで全てトータルサポートが可能です。

検討されている方やお困りの方、面倒なことは任せたい方、など気軽にご相談ください。

建設業許可の更新手続きは期限に注意

2023-06-08

建設業許可の更新手続きには期限があります

建設業許可申請を新規で取得しても、有効期間は決まっており、許可証にもその記載がされています。

引き続き建設業をされる場合には、5年に1度建設業許可を更新する必要があります。

更新の手続きにも、申請期限があり許可の満了する日の2か月前から30日前までに更新の申請をしなければなりません。

この期限が過ぎてしまうと建設業許可が失効されてしまい、また新規で取得する必要が出てくることとなります。

更新の期日については、行政から通知などはありませんので、ご自身で管理しておく必要もありますので、更新のタイミングが近づいてきたらなるべく速やかに書類を集めたり、書類作成をして期日に間に合わせるようにしましょう。

また、建設業については毎事業年度決算変更届を出さなくてはいけず、こちらの提出がないと更新をすることができません。

決算変更届を毎事業年度提出していなくても、更新の時期に合わせて5年分を作成し、提出することも可能ではありますが、書類作成も煩雑になってきたり納税証明書が一部取得できないこともありますので、毎事業年度に決算変更届はきっちりと提出されることをお勧めします。

 

建設業の取得をご検討の方へ~事前に確認すべきこと~

2023-06-05

どの種類で建設業許可を取得したいのか決める

まず建設業許可申請の前に、今回取得したい建設業許可の種類を決める必要があります。建設業許可には複数の種類があり、それぞれの許可に応じて必要となる要件が異なります。

尚、建設業許可の種類は、営む建設業の業種、営業所の所在地、下請けに出す工事の金額等により分類されることとなります。

また、建設業許可は、1件あたりの請負金額が税込で、建築一式工事は1500万円以上、それ以外の工事は500万円以上の場合に必要となります。この請負金額を下回る工事しか行わない場合は、建設業許可は原則必要ありません。

ご自身が営む建設業の業種がどれに当てはまるのか

建設業許可は、営む建設業の業種ごとに必要となります。業種は以下の29個に分れますので、ご自身が営む建設業がどの業種に該当するのか事前に確認してください。

一式工事 ①土木工事業 ②建築工事業  
専門工事 ③大工工事業 ➃官工事業 ⑤とび・土工工事業
⑥石工事業 ⑦屋根工事業 ⑧電気工事業
⑨管工事業 ⑩タイル・れんが・ブロック工事業 ⑪鋼構造物工事業
⑫鉄筋工事業 ⑬舗装工事業 ⑭しゅんせつ工事業
⑮板金工事業 ⑯ガラス工事業 ⑰塗装工事業
⑱防水工事業 ⑲内装仕上工事業 ⑳機械器具設置工事業
㉑熱絶縁工事業 ㉒電気通信工事業 ㉓造園工事業
㉔さく井工事業 ㉕建具工事業 ㉖水道施設工事業
㉗消防施設工事業 ㉘清掃施設工事業 ㉙解体工事業

 

建設業を営んでいる営業所の所在地はどこにあるのか

建設業でいう営業所とは、建設業に関する見積りや契約締結等の業務を行う場所のことです。

よって、登記上に本店や支店があっても、建設業に関する業務を行っていなければ、営業には含みません。

  • 営業所の所在地が一つの都道府県におさまる場合は知事許可

営業所が1カ所のみ、もしくは複数の営業所があったとしてもその全てが一つの都道府県内におさまる場合は、営業所がある都道府県の知事許可が必要となります。

  • 営業所の所在地が複数の都道府県にまたがる場合は大臣許可

営業所が複数あり、それらの所在地が複数の都道府県にまたがる場合は、大臣許可が必要となります。

下請け会社に出す請負工事の金額はいくらになるのか

元請工事を下請けに出す際、その金額によって必要となる許可の種類が異なります。

「元請工事を下請けに出す」場合の判断となります。「下請けで受けた工事をさらに下請けに出す」場合には、特段金額の制限はありませんので、注意してください。

元請工事を下請けに出す金額が一定金額を超える場合には「特定建設業」許可が必要で、超えない場合には「一般建設業」許可が必要となります。

  • 一般建設業

下請けに出す金額が3000万円未満の場合(建築一式工事の場合は、4500万円未満)

  • 特定建設業

下請けに出す金額が3000万円以上の場合(建築一式工事の場合は、4500万円以上)

 

その他にも、建設業許可を取得するには色々な要件がありますが、まずは建設業許可を取得したいと思った際には上記のような内容を確認していくことも大切です。

一般社団法人の任期は短いので、注意が必要です

2023-06-05

休眠会社の定義は法人形態によって異なります

休眠会社とは、株式会社及び一般社団法人又は一般財団法人であって、一定期間の間登記がされていない会社を指します。

株式会社と一般社団法人及び一般財団法人では登記がされていない期間に差異があり、下記のとおりとなります。

(1) 休眠会社:最後の登記から12年を経過している株式会社(特例有限会社、持分会社は含まれません。)
(2) 休眠一般法人:最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人
公益社団法人又は公益財団法人を含みます。)

この12年以内又は5年以内という期間内に登記事項証明書や印鑑証明書の交付を受けていたなどの理由は関係がなく、あくまで登記がされたかどうかとなります。

以上のように、一般社団法人では休眠会社になる期間が5年と株式会社などに比べて非常に短くなっております。

例えば、理事が1名しかいない一般社団法人では、2年毎の重任登記を忘れてしまいがちですので、気づかない内に5年経っていることも多々あります。では、この登記を放置しているとどうなるのでしょうか?

登記を放置しているとみなし解散される

上記期間内に会社の登記簿に変更(登記)がされないままになっている会社は会社の経営実態がないものとされ、下記のような要件により解散したものとみなされます。
  • 法務大臣が、休眠会社に対し2ヶ月以内にその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべく旨を官報に公告し、かつ、休眠会社に対し、その旨の通知を発すること。
  • 当該期間内に事業を廃止していない旨の届出がなく、かつ、当該休眠会社に関する登記がされないとき
以上の要件に該当した場合には、上記要件の2ケ月の期間の満了の時に解散したものとみなさます。
 

みなし解散されると会社はどうなるか

法務局の職権で解散の登記がされてしまいます。では、一旦みなし解散の登記がされてしまうと会社を継続することはできないのでしょうか?
 
結論として解散したものとみなされた後3年以内であれば、社員総会の決議を経て会社継続の登記をすることにより、事業を継続することができます。
このみなし解散を防ぐ方法としては、役員(理事・監事)の任期が発生するごとに確実に役員変更登記を行うことだと思います。
 
株式会社では定款で定めることで最長任期を10年まで伸長させることはできますが、一般社団法人では理事は2年、監事は4年と定められており、これを伸長することはできません。
会社設立したときから、そのまま何も登記手続きをせずに数年経っている方は特に注意してください。
 

相続人がいないと相続財産はどこに行くのか?

2023-05-31

相続人なき財産は国庫に帰属されます

相続が発生し、相続人の捜索の公告の期間満了まで相続人が現れないなど、一定の手続きを経た後に、相続財産は国庫に帰属されます(民法第959条)。

こちらについては、年々国庫に帰属する相続財産は増加しているというニュースがリリースされていますので、下記もご参考にしてください。

「遺産の相続人がいないなどの理由で国庫に入る財産額が、2021年度は647億円と過去最高だったことがわかった。身寄りのない「おひとり様」の増加や不動産価格の上昇も背景に、行き場のない財産は10年前の倍近くに増えた。」
朝日新聞デジタルニュースより抜粋

https://www.asahi.com/articles/ASR1N4VWKR1HULFA00H.html(2023年1月23日)

相続人がいないケースとは

相続人がいないケースとは、子や孫、配偶者、父母、祖父母、兄弟姉妹等の法定相続人が被相続人の死亡時に誰も存在していないことを指します。

それに加えて、法定相続人はいるけれども、法定相続人全員が相続放棄をした場合も、相続人がいないことになります。

国庫に帰属させない方法とは

ご自身の意思で国庫に帰属させることは民法でも定められたものであり、悪いことではありませんが、もし誰か財産を渡したい方がおられるのであれば、そちらを実現させる方が望ましいでしょう。

国庫に帰属させずに、ご自身の意思を実現させる方法の一つとして「遺言」があります。

遺言で財産の残す方を指定することにより、相続財産は国庫に帰属することなく、その方(受遺者)に帰属させることができます。

当事務所でも時折相談を受けることがありますが、この意思表示は「遺言」として書面を残すことが重要であり、口約束ではできません。

また、遺言自体も要式が決まっており、それらを満たしてないと無効になる恐れもありますので、注意が必要です。

遺言の要式が整っていなかった、せっかく遺言を作成したのに誰にも発見されない、という事態がないよう遺言作成は専門家に相談することをお勧めします。

 

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